キャリコン小説『聴けずのワカバ』(資格取得編)プロローグ「突然の出会い(1)」

  • 2020.08.15 Saturday
  • 18:06

はじめに

構想5年にしてようやく書き始められました。キャリコン試験のあるあるネタと今まで当塾で生徒の皆さんにお伝えしてきたことを小説にまとめていこうと思います。

ただ、私の職業はキャリアコンサルタントであって、小説家でありませんので、文章や構成に稚拙な部分は多々あります。もちろん「書く」ことに関してはド素人に毛の生えた程度です。しかも、これからキャラ設定や細かいストーリー、この小説の掲載場所、タイトルに至るまでいろいろ変わる可能性はあると思いますが、その辺はご配慮いただけると幸いです。

内容はこういう時期もありますので、辛い状況の中にもクスッと笑えるような要素を盛り込んでいます(誰がなんと言おうとそのつもりで書いています)。

今後は不定期更新ですが、出来る限り定期的に更新していきたいと思います(作者のやる気にかかっておりますけど)。これから読者のみなさんと一緒にこの作品を作り上げていけたら嬉しいなあと思っております。今後とも応援よろしくお願いいたします。

 

あらすじ

国家資格キャリアコンサルタント受験のために勉強している主人公(ココノエ ワカバ)が理不尽な目に遭い何度挫けそうになっても、たくましくひたむきに、そして様々な人たちのサポートを受け、試験に挑戦していく軌跡を描いたストーリーです。

 

(この小説はフィクションです。作者の実体験や生徒さんから聞いた話を元にした内容も一部ありますが、登場する人物、団体、エピソード等は原則架空のものであり、実在する人物、団体とは一切関係ありません)

 

 

プロローグ「突然の出会い(1)

 

「本日はどのようなご相談でしょうか?」

 

 

ここは都内でも老舗で合格率が高いとウワサのキャリコン(1)試験の面接対策講座を開講している勉強会。キャリコンの試験は学科と実技試験があり、私は学科試験を前回の試験で合格したものの、実技試験は今回で3回目。これまでいろんな勉強会や対策講座にも参加してみたが、成果には全くつながらず、もう何をすれば良いのか、何にすがれば良いのか分からなくなり、流れ流れて、ここにたどり着いた(これを「キャリコン難民」という)。

 

 今回の生徒さんは私以外に3人。みんなどこか浮かない表情をしている。その気持ちはよく分かる。だって・・・

 

「もう何度言ったら分かるの!本当にセンスない!だから前回もダメだったんじゃないの!あなたキャリコン向いてないわよ!この調子だとうちの勉強会の合格率下がっちゃうじゃない。次の試験受けるの諦めて!」

 

 私のロープレ(2)が終わった瞬間に講師から怒号が飛んだ。彼女はここの勉強会の主催者であり、この業界で長くキャリコンとして活躍しているという有名な女帝、いや女性だ。だからここでの彼女の発言は絶対。資格を持っていない私などが反論できる余地もない。

でもしかしまあ、よくもここまで早口で罵詈雑言の数々を初対面の人、しかも本来顧客である生徒に浴びせられるものだ。逆にその言葉の多さとまくし立てる頭の回転の速さにちょっと感心すらしてしまった。

 

 「まあまあ、ヤシロさん少し落ち着いて、彼女も悪意があったわけではないのですから」

 

 もう一人の講師が優しくフォローしてくれた(「悪意」という言葉には引っかかったけどね)。こちらはひげを蓄え、穏やかな雰囲気を醸し出している、いかにもキャリアコンサルタントという初老の紳士風の男性。

 

 「ココノエさん、今ヤシロさんが結構厳しいこと言ったけど、

(結構厳しいってことは分かっているのね)

 

 「決してココノエさんをいじめようとか、ひどいことを言って落ち込ませようということで言ったわけじゃないんですよ。

(ひどいことを言っていたことは分かっているのね)

 

「いわゆる愛情ですよ、愛情。私達は生徒の皆さんに愛情を持って接している。だからこその苦言なのです。ヤシロさんも言いたくて言っているわけじゃない

(絶対ただ言いたかっただけでしょ)

 

「初めはみんな実力不足なので、こんなもんです。自分だけ出来ないのだと落ち込まないでください。ココノエさんは今回の試験は何回目なのですか?」

 

3回目です(初受験じゃないって前提で話してるのはムカつくけど)。」

 

「やはり、そうですか・・・だとするとこのままだと試験には間に合わないかもしれませんね。ヤシロさんはどう思います?」

 

「絶対無理ね」

(即答かよ!)

 

「ではご提案ですが、私どもの経験上、ココノエさんは後30回ほどロープレする必要があると思いますよ」

 

「えっ、30回ですか!?」

 

「どうしても次の試験で受かりたいですよね?」

 

「は、はい。合格できるなら・・・」

 

「できるなら?何、甘っちょろいこと言ってるの!」

(はい、流れ弾キター!)

 

「そんな覚悟もない浅はかな考えだったからずっと不合格だったのよ!」

(はい、理不尽極まりない流れ弾2発目キター!)

 

「まあまあ、ヤシロさんそう言わずに。ココノエさんだって悪気があるわけじゃない。だったらココノエさん、次回からはこの『試験まで通い放題プラン』にしましょうか?」

(はい、流行りに乗っかったサブスク商法キター!しかも根拠のない「悪気」2回目!)

 

「この子にそんなプラン勧めてもどうせ無駄でしょ!」

(はい、間髪入れずにチャチャ入れてキター!しかもこの子呼ばわり。本当に愛情ある?)

 

「どうしますか?ココノエさん。このプランは人気でね。残り1枠だから今決めないとすぐ埋まっちゃいますよ。」

 

「そうですね・・・ちょっと考えさせてください。」

 

「そんな大事な決断もすぐに出来ないから試験にも合格できないのよ!で、どうするの!?」

(はい、予想通り、即決させるための強めの圧キター)

 

その後も他の生徒さんの見ている前で銃弾のような罵詈雑言の数々を浴びせられたあげく(本日2回目)、危うくサブスク講座の契約書にサインと全額入金させられそうになるのを拒み続け(最後は大和田常務ばりの土下座寸前まで)疲労困憊になりながら会場を後にした。

 

(あんまり記憶にないけど、最後に何かすごい捨て台詞を言われてた気がするなあ。)

 

◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯!!!!!!!!!!!」

 

「まあ、いいか。どうせちゃんと聞いてなかったし。でも今日は本当に疲れたなあ。勉強会のあり方や教わる先生についても考えさせられちゃった。有名だからとか老舗だから良いってわけじゃないんだなあ。よしっ、気持ちを切り替えるために今日の愚痴をまたヨッチャンに聴いてもらおう!」

 

そしてそのくたびれた足で友人のいる都内のギャラリーに向かった。

 

「突然の出会い(2)」につづく・・・(次回の更新は8/17予定)

 

注釈

(1)国家資格キャリアコンサルタントの略。キャリアカウンセラーとほぼ同義だが、想像以上に知名度が低い。間違っても友人に「俺キャリコンなんだ」と言わないように。「はっ!?」って返されるのが関の山です。

(2)ロールプレイングの略。主に実技試験における面接試験(60分のキャリア面談の冒頭15分の設定)の練習を指す。受験生はみんなこの試験のせいで眠れない夜を過ごしています。